マルチンの家に奉公にいって馬の○○を食べた話
ハァーイ
色々ありましたね。
色々あったんですよ。
色々あったことはいろんな人が書いてるので日常について書きましょう。
なお、今回の記事は衝撃的な画像が多く含まれます。血液など苦手な方は注意してください。あと長い。
3月5日だったかな、校長先生に誘われてмалчин(マルチン:遊牧民)の方の家にお邪魔することになりました。
旧正月のときは用事が重なりいけなかったので、この日になったみたいです。
前日の夜、電話で話して明日朝10時発とのことです。
次の日
10時30分に校長先生から「おまえどこおんねん」との電話がかかってきます。
すいませんてっきり家の前まで迎えに来てくれると思ってました……
モンゴルの方も割と時間にルーズなんですが、何もなければ時間通りにやってきます。日本人の遅刻を見るなんて珍しい体験ができましたね。とでも言っておきましょう。
内心は心臓バクバクです。ダッシュで職場まで行きます(徒歩1分)。
さすがに気前がいい校長先生です。怒られたりはしません。理由を問われましたが、逆になんで迎えにこないの?なんて言えません。常識的に考えれば私が行くべきです。
「うっかり時計見るの忘れて本読んでたよккк(モンゴル人のwwwの表現)」
あきれられたような目で見られた気がしますが強い心で耐えます。いつだって強い心が必要です。
時間も押しているのでさっさと行きます。校長先生、私、運転手、なんか学校の偉い人。
マルチンの家につきました。写真はありません。なぜなら本当にこの日はお邪魔してご飯食べて帰ったくらいだったので。あと、のんきに写真撮るほどおれの心は強くない。最大HPは大きいが回復は遅い感じ。
で、まあ私にとっては珍しいものばかりなので台所なんかを見ていると、
校長「ヒロ、明日も暇やろ?(※) ダワー(運転手)と来て日本食でも作りーや。」
なんか偉い人「そらええわ。ついでに仕事も手伝ったらどうや?」
※コロナウイルス予防のため、このとき休校中でした。
ダワーの心境は知りませんが、毎日暇していた私にとって最高の申し出です。
明日は朝9時に集合の約束をして昼過ぎに帰りました。明日は遅れるなよとのこと。しゃあしいわ。
ここから本題
はい、そんなわけで朝10時、マルチンの家に到着です。私が30分遅れて、ダワーはもう30分遅れただけの話。ダワーとはよく気が合います。
ついたときにはマルチン一家は日課の牛糞、馬糞を集めています。
言い忘れてましたが、こちらの一家は父、母、長女(ロシア留学中)、次女で現在3人暮らし。家畜は馬、牛、ヒツジ、ヤギを飼っています。どれもそれなりにたくさんいますが、モンゴルではどの程度の規模なのかはさっぱりです。
さて、牛糞、馬糞をなぜ集めるかというと乾燥したこれらは燃料になるとのこと。
話には聞いていましたが、本当に使っているんですね。スコップを使って一家総出で2輪のネコ車みたいなのに集めていきます。
スコップがないので手持無沙汰にしているとダワーから
「モンゴルの牛糞は草だけ食っとうき汚くないんよ。手で集めりー。」
話には聞いてましたが本当に言ってるんですね……(2回目)
腹をくくりましょう。いつだって強い心が必要です。
実際、凍ってて石のように固いです。匂いも全くありません。
内部の半解凍くらいのが手についたときはニュートラルな気持ちになりました。強い……心が……(3回目)
これらは家の裏手に集めている場所があるのでそこに固めておきます。集めすぎてちょっとした石垣みたいになってました。
あらかたとり終わったら(取りにくかったり、集めるには遠いものはスルー)家に帰って休憩です。
良かった皆さん手を洗ってらっしゃる。これがコロナ予防の今だけではないと祈ります。
家でお茶しながらおしゃべりしていると、一家の主人に電話がかかってきました。なんでもいまちょうど馬を去勢しているので見に来るかとのこと。
ありとあらゆることを見たい私にとって最高すぎるタイミングです。一緒に行かせてもらいました。
近くの別のマルチンの馬小屋まで車で10分しないくらい。バドミントンのコート程の広さ、屋根まで2,3メートルくらい。よそのマルチンとその家族も来ているようで合計で15,6人くらいいたと思います。
ちょうど最後の1頭を処理するところでした。
馬の足を縄できつく縛って、二人の男が押さえつけます。そこをもう一人がナイフで腹を切って睾丸を露出させ、真っ赤になるまで熱したプライマーのような道具でちょん切る&傷口を塞ぐという手順のようです。
焼いて塞いだ。2,3度気絶しかけたがな。言いたかっただけです。
薄暗い小屋の中で、屈強な男たちが息を荒げる馬を押さえつけて奇妙な道具で○○を切り落とす。記録映画のワンシーンを見ているかのようです。この場にいられて本当に良かった。
で、切り落とした○○。食べます。生で。
基本的にモンゴル人は生肉を食べません。これも断ってる人が数名いました。食べると体にいいとのことで、薬みたいな縁起担ぎみたいな感じなのかな?
そのうち私たちのほうにも回ってきました。主人と、奥さんが食べます。適当に表面に切れ目を入れて靴下のようにひっくり返して中身を露出させます。そこをすかさず丸かぶりです。血を滴らせながら○○をかぶりつく女性。新たな扉が開く音がします。
私も食べたかったんですが、1個が結構大きいこと(鶏卵より1回り大きい)、やっぱちょっと怖かったこともあったので、奥さんから1口分もらって食べました。
見た目は桜色で(馬だけに)、表面が毛羽だったマシュマロのような感じ。感触も柔らかいです。湯気が出ているのがちょっとつらい。
強い心が必要です。深呼吸をしてから食べました。
あーなるほど。ほんのり生臭く、適度な弾力。わりとうまみがあります。これはホルモンというよりも生のタコ刺しっぽいですね。ぬるいのが違いますけど。
さっさと飲み込んでしまったのですが、わさび醤油があれば十分いける味ですね。
ちなみにダワーも同じくらいの量食べたんですが終始つらそうな顔してました。彼は拒否ってたんですけど押されて食べたみたい。いつかタコ刺し食べさせよう。
そのあと私の紹介されたり、結婚してないって言ったら、そんなら必要ないからお前のも取って食おうとモンゴリアンジョークかまされたり。例の器具をもって追いかけられたり。
「気に入った! うちに来て飲んでけ!」
家にお邪魔してウォッカを飲んだり、なかなか濃い体験をしました。
モンゴルにいると思いがけない出会いがたくさんあります。面白いことをして暮らすためには人とのつながりと余計なことに首を突っ込むことが大切かなと思いました。
あ、そのあと家に帰って牛丼作って昼寝して帰りました。
奉公ではありませんがちょうどいい生活体験でしたね。牛丼はおいしかったそうです。