お茶の花のお茶は想像の香り
はぁーい
葉っぱからお茶ができるなら花でもできるだろ、くらいの気持ちで作ってみたら割とおいしいのができました。
前に緑茶を作ったことがあります。材料は庭に生えてるし、新芽はすごいおいしそうな色なんです。でもいざ作ってみると味も色も薄くておいしくないんですよね。雑に作ってるからっていうのもありますが。お茶屋さんとお茶工場はすごい。
そんなことを今年の春も思いながら半年過ぎたら花が咲いてました。お茶の花って冬に咲くんですね。
彼ら、実も同時にならせるんですね。この時期に花が咲いてることを考えると種を飛ばすまで丸1年です。気が長い。千利休くらい気が長い。しらんけど。
最初はこの実をみて、食べてみようかなーと思いました。ツバキ(お茶と同じツバキ科)の実だって食用油とれるし。
調べてみると、身をゆでると油が浮いてくるので、スプーンで集めるそうです。普及しないわけですね。こんな気が長い方法を実践できるのは千利休くらいでしょう。
実のほうは来年考えるとして。さて、花が咲いています。
お茶が新芽から作られるなら、花も新しく生えた芽みたいなもんなんじゃなかろうか。つまり花からお茶が作られるのでは?
これはお茶業界に新しい風が吹き荒れますわ。見える、札束のプールで平泳ぎする私の姿が。クロールが苦手なんです。
まずはお茶の作り方を確認しましょう。全般的に何も知らないのですべてはグーグル頼りです。
ざっくりいうと
収穫 → 蒸し → 乾燥
ってことらしいです。パリパリやっていきましょう。
収穫しました。ザルの隙間におしべが刺さってますね。
次は蒸しの工程です。めんどくさいですね蒸すの。レンチンしましょう。反対意見の人がもしいるならチンしちゃいますよ。
正解はわからんけどいい感じな気がします。続いて乾燥。
この乾燥の温度が重要らしくて、高すぎても低すぎてもダメで40度くらいの熱風をあてるのがいいそうです。
という説明をカンカンのオーブンでガンガンに熱した後に気づきました。丁寧な仕事は現代のメカ千利休らに任せましょう。時代は裏でも表でもなくニュージェネレーション千家です。
蒸した(レンチン)ことで水分が多かったためか大事には至りませんでした。
結構長めにオーブンにかけましたが、市販のお茶のようなパキパキにはなってません。参考に見てたサイトでは水分を感じなくなったら、と曖昧な書き方だったので花を押しつぶして水気がにじみ出てこなかった時点で終わりとしました。
トラブルはありましたがとりあえず完成です。お茶を淹れましょう。
ところでお茶の淹れ方もよく知りません。何もわからないまま茶葉に熱湯を注ぎます。
なんかいい感じやん。
このあたりでそういえば中国茶に茶の花の花茶ってあるんじゃないかなと気づきましたが気づかないふりをしました。
飲んでみましょう。
わりとうまい。
緑茶にあるうまみはあまり感じませんが、花の柔らかい香り、渋み、色などは十分にお茶として楽しめます。
とくに渋みは強めです。ただ私は濃いめのお茶とか好きなので人によっては苦手かもです。そもそも手作りの緑茶だと渋みなんぞ皆無だったのでこれはかなり意外でした。
香りですが、緑茶の香りとは全く違います。しかし、○○の香りと例えられるものを私はあいにく持っていません……。これでも調理師なのに情けないですわ。
しいて言うなら、消臭剤なんかで、お花の香りってあるじゃないですか。ああいうの大体自分が想像した香りとは全く別物だと思うんですけど、その時にこんな香りだといいなってイメージしたときの香りです。すごい主観だ。
今回は初挑戦でなかなかのものを作れたので快感でした。自分で作るしか飲む方法がないので、シーズンに1,2回分くらい集めて作ってもいいかなと思いました。
ちなみにお茶屋さんは花が咲かないようにつぼみを摘み取るそうです。新芽に全栄養を回してもらうためですね。茶摘みがつむのは葉っぱだけじゃなかったんですね。
はい、ところでこの時期は山茶花も咲いてます。山茶花もお茶もツバキ科で同じ仲間なんですね。ということで。
子供のころ山茶花がおいしそうと思って食べたときのことを思い出しました。独特の青臭さに胃液がこみ上げそう。味は無です。
お茶の木は人家が近くにある、あった、山に行くとどこにでも生えています。花もまだ咲いていると思うので気になる人は採取しに行ってみてください。オーブンレンジがあれば適当にやっても作れます。この香りをどうにか言語化してほしいです。
作るのが面倒な方はいっそそのまま食べてみてください。華やかな粉っぽいレタスの味が楽しめますよ。